雨のにおい

雨が降った。はじめはポツポツと降っていたはずなのに、いつのまにか粒は大きく、速度も上がって、風まで吹いた。寝ていたはずの体を起こして、部屋の窓を閉めに立ち上がる。
外を見るとアスファルトは黒く塗りつぶされ、雨粒が残像を残してビジョンを埋める。人が頭を覆って走っている。
「すぐに止むだろう・・・」そう思ってまた布団に入った。
少し経って、窓を開けると夏らしからぬ涼しい風が吹いた。疎ましい雨も好きになれそうだと、ちょと思った一瞬